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発達障害・用語辞典 【目次】

このページは、「発達障害」ならびに関連する専門用語を解説していく用語辞典となります。
ブログに出てきた用語の中で分かりづらいものや、発達障害の当事者の方、並びにその周囲の方々に役立つ用語を
今後、少しずつまとめていこうと思います。


以下の目次より、お探しの用語をクリックして下さい。

※既にブログ上で解説している用語については、その時の解説をコピー、ないし加筆する形で掲載しています。
※できるだけ正確な情報を記すよう心掛けますが、素人仕事ですので、もし間違いがありましたら申し訳ありません。




<あ行>


 ・アスペルガー症候群
 ・アスペルガー症候群[具体的な症状例]
 ・アスペルガー症候群[診断要件]
 ・オープン(にする)
 ・





<か行>


 ・学習障害
 ・コミュニケーション能力
 ・





<さ行>


 ・自閉症
 ・自閉スペクトラム症
 ・社会性
 ・障害者手帳
 ・障害者枠(障害者雇用)
 ・常同性
 ・ジョブコーチ
 ・ソーシャルスキルトレーニング
 ・





<た行>


 ・注意欠陥・多動症候群
 ・DSM-4
 ・DSM-5
 ・定型発達(者)
 ・





<な行>


 ・
 ・
 ・





<は行>


 ・発達障害(者)
 ・発達障害者支援センター
 ・





<ま行>


 ・3つ組の障害
 ・
 ・





<や行>


 ・
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 ・





<ら行>


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<わ行>


 ・
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Date: 2000.01.01 Category: 用語辞典  Comments (0) Trackbacks (0)

発達障害・用語辞典 【あ行】

<あ行>





・アスペルガー症候群

知的発達、言語発達等に大きな遅れが見られないにもかかわらず、
コミュニケーション能力や興味へのこだわり、行動等に特異な問題を抱える(障害が見られる)、広汎性発達障害の一種
1944年、オーストリアの医師ハンス・アスペルガーが最初にこの症例を報告したことから、この医師の名を取って病名がつけられた。

自閉症同様に、当初は「統合失調症の一症状」であるとされ、また「母源病説(親の育て方が悪い)」など様々な原因説が挙げられていたが、
現在は、具体的な部位は不明ながらも「先天性の脳機能障害」が原因であることがほぼ確実視されている。
しかし、 詳細な原因についてはまだまだ研究途上であり、明確に有効な治療法も発見されていない。

また、分類の上でアスペルガー症候群が「知的発達遅延のない(知的障害のない)自閉症」として扱われていることもあるが、
あくまでも病状から見た仮説であり、具体的な形でアスペルガー症候群と自閉症の間に関係があることが実証されているわけではない。

なお、2013年に新たに制定されたDSM-5において、「アスペルガー症候群」という診断名は削除されることが決まり、
新たに制定された「自閉スペクトラム症」に統合されることになる。





・アスペルガー症候群[具体的な症状例]

※あくまで一例であり、全員に共通するものではないことに注意。
また、症状の重さ軽さにもかなりの個人差がある。

〇相手の考えや感情を、その相手の表情や身振り手振りなどから理解したり推測したりすることが苦手。
 (言葉に出したり、文字で表してもらわなければ理解が難しく、結果として相互のコミュニケーションに大きな支障が出る。)

〇言葉の「裏」を読むことが苦手で、額面通りの意味として受け取ってしまう。
 (言葉の中に比喩表現や皮肉、ほのめかしなどの意図が隠れていても、それを判断するのが苦手。)

〇その場の状況に応じた行動を取ることが苦手。
 (場や相手のことを考えずに、言ってはいけない言葉をストレートに言ってしまうなど。)

〇行動の仕方や習慣などに、独特かつ特異な振る舞いが見られる。
 (規則正しく動くものをずっと眺め続ける、物を置く場所を1ミリ単位で決めているなど、意味を理解し難い行動であることが多い。)

〇規則的、順序だった思考や行動にこだわりを見せ、また突発的な出来事に対して異常な拒否反応を取ることがある
 (特定の時間に○○をするといった決まりを作っていて、どんな理由だろうとそれを邪魔された途端に感情を爆発させてしまう、など。)

〇特定の物事に異常と思える強い興味を持ち、それらの物事に対しては極めて高い集中力や記憶力を発揮する。
 (その一方で、興味のない分野に対しては忍耐力が弱いことが多く、「やる気がない」「怠けている」と見られがちである。)

〇細かな運動能力の発達に遅れを見せることがある。
 (手先の不器用さ、特徴的な歩き方など。)

〇視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といった、五感の感じ方や受け取り方に特異な部分が見られる。
 (触れられたり、大きな音を出されるのを特に嫌がるなど、一般の受け取り方よりも敏感に、強く感じやすい傾向がある。)





・アスペルガー症候群[診断要件]

DSM-4において定義された「アスペルガー症候群」の診断要件

(1)以下の4点のうち少なくとも2点以上の、主に社会性を司る対人的相互反応(他人に対しての反応や関わり方)の質的障害がみられること。

○視線を合せること、表情、体の姿勢やジェスチャーなど、対人相互反応を調節するのに必要な多くの非言語的行動をうまく使うことができず、著しい障害が見られること
○発達水準相応の友達関係をうまく築くことができない
○喜びや、興味または達成したことを他人と分かち合うことを自発的に求めることがない(たとえば、関心あるものを見せたり、持ってきたり、示したりすることがない)
○社会的または情緒的な相互性の欠如

(2)以下の4点のうち少なくとも1点以上の、反復的かつ常同的な繰り返し行動やパターンがみられること

○1つ以上の常同的で限定された興味に対して、程度や対象において異常なほど熱中し
○特定の機能的でない日課や儀式などに、頑ななこだわりを見せるなどの執着
○常同的で反復的な運動の習癖(たとえば、手や指をひらひらさせたりねじったり、または体全体の複雑な運動)
○物の一部への持続的なとらわれ

(3)上記の2つの症状面での条件を満たしつつ、更に以下の条件を満たすこと

・(1)(2)の症状によって、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能で、臨床的に著しい困難や障害を引き起こしていること(症状の影響によって、社会生活などに著しく大きな困難をきたしていること)
・言語や認知の発達、知能などに特別の遅れがないこと
・その他特定の広汎性発達障害や統合失調症など、他の病気や障害の条件を満たしていないこと





・オープン(にする)

周囲に対して、自らが障害を抱えていることや、その具体的な症状を明かすこと。
狭義の意味では、就労や進学などの際に、あらかじめ職場や学校に対して自らが障害を抱えていることを伝えた上で就労・進学すること。
また、その反対に障害を明かさずに就労・進学する場合は「クローズ(にする)」と表現する。

障害をオープンにして就労する場合には、障害者手帳を取得した上で、障害者枠での就職となるのが一般的である。

外見だけでは障害を抱えていることが分かりづらく、また特に就労の際に障害が大きな不利になり得る
主に精神障害・発達障害の当事者の方々の間で使用されている言い回しであり、
自らの障害を明かすかどうか。また、明かすとして「どのタイミングで、誰に、どこまで」明かすのか、ということは
これらの障害を抱えた方々にとっての共通の悩みとなっている。
仮に障害を明かした場合、周囲の人々や環境に恵まれれば、今より自らの障害や特性を理解してもらいやすくなる一方で、
相手によっては、それまで上手くいっていたはずの周囲との関係や環境が悪い方向に変わってしまう可能性をもはらんでいる。

思うように理解を得られなかったり、自らが望む方向に行かなかった場合のデメリットがかなり大きいので、
障害を明かすか明かさないかの判断を求められる場面では、
軽はずみな判断をするのではなく、しっかりと方針を決めた上で行動することが望ましい。



Date: 1999.12.01 Category: 用語辞典  Comments (0) Trackbacks (0)

発達障害・用語辞典 【か行】

<か行>





・学習障害

全体的な知的発達に問題はないが、聞く、話す、読む、書く、計算、推論など、ある特定の分野の能力を習得したり使いこなすことに著しい困難をきたしている状態のこと。
困難をきたしている分野やその程度は、当事者一人一人によってかなりの開きがある。

単一の障害ではなく、多岐に渡る複数の症状をまとめた総称であるが、その中で具体的に分類されているものとしては、

・ディスレクシア(識字障害) 文字を読んだり、認識することが困難な症状

・ディスグラフィア(書字障害) 文字を書くことが困難な症状

・ディスカリキュア(算数障害) 計算をしたり、数の概念を理解するのが困難な症状


などがある。
どの症状についても詳しい原因は分かっておらず、治療法も見つかっていない。






・コミュニケーション能力

場面や伝え手によって様々な意味を持つ言葉だが、一般的にコミュニケーション能力と言った際には

・言語的、または非言語的(表情、視線、身振り手振りなど)な要素を用いた意志疎通能力
・互いの感情を理解し合い、また気を配ることで、信頼関係を築いていく能力。
・相手が見せている非言語的な要素から、相手の気持ちを読み取り推察する能力。
・相手の気持ちを読み取った上で、相手に不快感を与えない形で自分の感情や意志を相手に対して伝える能力。

などを指していることが多い。

「自閉症」ならびに「アスペルガー症候群」の患者は、一般社会で必要とされるこれらのコミュニケーション能力が低いとされており、
特に非言語的なコミュニケーションを苦手としていることが多いが、
見方を変えれば、一般的な「多数派のコミュニケーション能力」とは異なる「少数派のコミュニケーション能力」を有しているとも捉えられる。


Date: 1999.11.01 Category: 用語辞典  Comments (0) Trackbacks (0)

発達障害・用語辞典 【さ行】

<さ行>





・自閉症

言語の発達の遅れや、コミュニケーション能力や興味へのこだわり、行動等に特異な問題を抱える(障害が見られる)、広汎性発達障害の一種
単に「自閉症」と言う場合は、上記に加えて知的発達にも遅れのある「低機能自閉症」を指していることが大半である。

1943年に発見された当初、自閉症は「統合失調症の一症状」として扱われており、病名にその一症状を指す「自閉」という単語が使われたのもそのためである。
その後研究が進み、現在では「先天性の脳機能障害」が原因であることがほぼ確実視されている。

従来の考えとして、自閉症のうち知的発達に遅れのないものを「高機能自閉症」
高機能自閉症の中で更に、言語発達に遅れのないものを「アスペルガー症候群」と分類するのが一つのやり方であったが、
実際、一人の患者をどこで線引きし、「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」のどちらで診断すればいいのかの判断は
専門の医師であっても難しく、また時に診断する医師によって病名が変わることもあった。
その揺らぎが、アスペルガー症候群の定義や概念自体の曖昧さにも繋がっていたことから、
DSM-5において、これらの定義を整理し一つの診断名として統合した「自閉スペクトラム症」という概念が生まれることになった。





・自閉スペクトラム症

2013年に新たに制定されたDSM-5において、
それまでのDSM-4において「広汎性発達障害」と呼ばれてきた障害のカテゴリを整理統合して生まれた、新たな診断名。

具体的には、従来まで「広汎性発達障害」のサブカテゴリとして扱われてきた

・レット症候群
・小児期崩壊性障害
・自閉症
・高機能自閉症
・アスペルガー症候群
・特定不能の広汎性発達障害

の障害のうち、まず遺伝子疾患であることが明らかになったレット症候群を除外した上で、その他のサブカテゴリを廃止・削除し、
新たに「社会性の障害」と「常同性(こだわり)」の両方に問題があることを診断の基準に置いた「自閉スペクトラム症」として統合したものである。
これにより、今後アスペルガー症候群は「知的発達に遅れのない自閉スペクトラム症」として分類されることになり、
「アスペルガー症候群」という診断名も次第に消えていくものと見られている。





・社会性

対人関係における情緒や性格、またそれらと結びついた思考や行動などの「人格」を形作る性質。
個人、あるいは集団での人間関係を円滑に維持し、社会生活を営んでいくためには欠かせないものとされる。

言葉の概念としては広く曖昧なもので、具体的にどのような能力を指すのかは研究者によっても違いはあるが、
一般的に言われるものとしては、

・他者の言葉や行動などの「反応」から、他者の気持ちを読み取って適切な行動を取れること
・集団の中で協調的に行動できること
・自身の置かれている立場や状況を判断して、適切な行動を取れること
・「仲間に入れてほしい」「仲間として認められたい」などの形で、他者と関わりたいという欲求を持つこと
・他者の気持ちを推し量って、思いやり、同情、共感などの気持ちで寄り添えること

などを指すことが多い。
最近では、これらの能力を一まとめにして「場の空気を読む力」と表すこともある。

これら「社会性」と称する能力に問題(障害)があり、日常生活において著しい困難を抱えていることが、
「アスペルガー症候群」及び「自閉スペクトラム症」の診断基準の一つとなっている。





・障害者手帳

日本の場合、障害者手帳と呼ばれるものはそれぞれの障害の種類や部位に応じて以下の3種類に分かれている。

・身体の外部・内部に障害を抱えている方に対する「身体障害者手帳」
・知的発達が遅れている方に対する「療育手帳」
・うつ、統合失調症などの精神障害を抱えている方に対する「精神障害者保健福祉手帳」

発達障害は精神障害の一種として分類されており、症状に応じて「精神障害者保健福祉手帳」の対象となる可能性がある。
精神障害者保健福祉手帳には、更に障害の程度に応じて1級、2級、3級の3つの等級があるが、
「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」の診断で手帳を取得する場合は、このうち一番下の3級に分類されることが多い。

精神障害者保健福祉手帳の3級を所有していることによって受けることのできる支援のうち、主なものとしては

・確定申告によって所得税、住民税、相続税等の税控除を受けられる。
・施設利用料の割引や公営住宅へ優先して入居できるなど、各種自治体が定めたサービスを受けることができる。
・携帯の使用料の割引や遊園地・テーマパークの入場料金の割引など、それぞれの民間事業者が定めたサービスを受けることができる
・ハローワークや発達障害者支援センターにおいて、適職診断やジョブコーチ等、各種の就職支援サービスを受けることができる。
・企業が一定の割合障害者を雇うことを義務付ける「法定雇用」の対象となることで、障害者枠で採用される可能性が生まれる
・厚生年金に加入している場合、条件次第で障害厚生年金3級(平成25年度で、年額最低583,900円)の受給対象となる可能性がある。
 ※精神障害者保健福祉手帳3級の場合は、国民年金に加入しているだけで受給対象となる障害基礎年金の対象には「ならない」

などが挙げられる。

なお、手帳は2年に1回更新する必要があり、更新のたびに等級の再判定が行われる。
また、本人の意思によって一度取得した手帳を返納することも可能である。





・障害者枠(障害者雇用)

それぞれの企業が障害者を雇用するために設けている、障害者専用の就職の採用枠。

国が定めた「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)の中で、
企業に対し、その規模に応じて一定の割合だけ障害者を雇用するよう定められており、
定められた割合(2014年現在、56人以上を雇用している民間企業の場合、1.8%以上の障害者を雇わなければならない)を下回った企業に対しては罰金が科せられる、というルールがある。

そのために、企業によっては障害者手帳を所有している方のみを採用の対象とした「障害者専用の求人」を出している企業が存在する。
ハローワークの一般の求人検索には出てこないが、窓口で申請すれば求人のリストを閲覧することができる。

あらかじめ障害者を雇用することを前提としての採用であるため、
就労に際して、各当事者の抱えている障害や病状に対する企業側の理解が比較的得やすい、というメリットがある。
ただし、その反面待遇としてはパート・契約社員などでの雇用が多く、給与水準も一般枠での就職に比べて低いことが大半である。
特に、発達障害の場合、多くの当事者の方が該当する「精神障害者保健福祉手帳3級」では、障害者年金の一方の柱である障害基礎年金を受給することができず、
もう一方の障害厚生年金についても、受給資格を満たすためには

・「初診日(その障害で初めて病院の診察を受けた日)に厚生年金に加入していなければならない」
・「既に収入が一定以上あると受給が認められない場合がある」


などの制約があるため、「収入が低くても障害者年金で埋め合わせればいい」という手段を取れない場合が多い。

そのため、障害者年金の受給資格がない方や、家族に頼らず自立できるだけの収入が必要な方にとっては、
障害に対して配慮してもらえることを考慮しても、必ずしも障害者枠での就職がベストにならない場合があり、
それぞれの当事者が障害者枠で就職するか、一般枠で就職するかの判断を難しくする原因にもなっている。





・常同性

同じ姿勢、行為、言葉などを長期間に渡り反復、持続すること。
この概念自体は「習慣」「趣味」などと呼び換えることができ、健常者の方々も多かれ少なかれ持っているものであるが、
自閉症やアスペルガー症候群の当事者の場合、

・行動を取る頻度や、行動に対して向ける集中力が異常なほどに高い。
・本人以外の視点から見た時に、それら姿勢、行為、言葉などの「行動」を繰り返すことに具体的な意味や理由を見出し辛いことがある。
・行う時間や過程、物の場所など、詳細に至るまで異常な正確さを求める。
・あらかじめ決めていた「儀式」や「日課」を行えなかったり、中身に些細な変化があっただけでひどく不安を覚え混乱したり、異常な拒否反応を取ったりする。

などといった、一般的な「習慣」と比較して特異な点が多く見られることが特徴であり、
特に「同じ過程を踏んで同じ行動を取ることに異常にこだわる」「興味や関心を持ったことに対して、極端なまでに執着する」傾向が強い。

具体的な例としては、

・ドアの開け閉めや物の片づけなどの日常的な行動を、常に自分が決めた手順通りに行うことにひどくこだわる。
・学校の行き帰りに、いつも決めているルートが使えないとパニックを起こしてしまう。
・振り子など動くものを見続けたり、特定の場所をぐるぐる回ることを繰り返したりして、それを邪魔されると手が付けられないぐらい怒ってしまう

などが挙げられるが、こだわりの対象や程度は当事者によって大きく異なる。
また、成長や状況の変化によって、こだわりの対象が変わったり、こだわりが消失することもある。

これらの「常同性」によって取られる行動や、その行動を維持することに対する強いこだわりによって、日常生活において著しい困難を抱えていることが、
「アスペルガー症候群」及び「自閉スペクトラム症」の診断基準の一つとなっている





・ジョブコーチ

障害者が就労するにあたって、「障害者本人に対しての支援」と「職場や雇用主に対しての支援」を行うことで、
障害者が円滑に就労することができるよう、職場内外の環境を整える者のこと。

「見た目として障害があるようには見えないが、実際の就労にあたって少なからず困難を抱えることが多い」
「障害の重さ軽さに大きな個人差があり、それぞれの症状に応じて対処の仕方が大きく変わる。」
という障害の特性から、主に発達障害者の就労支援として利用されることが多い。

具体的な支援の内容としては、

○障害者本人に対する支援
 ・人間関係や職場でのコミュニケーションを円滑に取るための支援
 ・仕事の効率を上げたり、ミスを減らすための支援
 ・生活リズムの改善や継続的な勤務など、基本的な労働習慣を作るための支援

○事業主に対する支援
 ・個々の障害に対する知識や特性を理解するための支援
 ・他の従業員との間における、コミュニケーションや関わり方などの助言や提案
 ・仕事の内容や、具体的な指導方法の助言や提案

○家族への支援
 ・障害者本人の職業生活を支えていくための助言

などが挙げられる。

障害者とそれぞれの状況に応じて支援計画を立てた上で、これらの支援を1カ月~7カ月の間継続的に行うとともに、
その支援期間が終了した後も、職場内で適切な支援が継続されるような環境を整えることがジョブコーチの目的である。

実際にジョブコーチを利用したい場合は、

・地域障害者職業センターや発達障害者支援センターに問い合わせる
・就職活動の中で、ハローワークを経由して依頼する

などの方法がある。





・ソーシャルスキルトレーニング

ソーシャルスキルとは「社会の中で普通に他人と交わり、共に生活していくために必要な能力」という意味で、「社会技能」とも訳される。
大多数の一般人、いわゆる「定型発達者」にとっては、特別な訓練を行わなくても周囲の教育や自身の成長などによって自然と会得できるものであるが、
その一方で、多くの発達障害者は定型発達者と同じような形で「自然と、空気を読むことで」社会性を成長させていくことは難しい。

そこで、これら苦手とする社会技能を訓練によって習得することで、
社会性を身に着けるための助けとするのが「ソーシャルスキルトレーニング」である。

トレーニングの方法には様々な種類があるが、基本の流れとしては、

1.ボトムアップ
  (トレーニングの対象となるスキルの確認。なぜそのスキルが必要で、身に着けることにとってどのような効果があるかを示す)
2.モデリング
  (スキルを習得する手本として正しい振る舞いを見せたり、間違った振る舞いを見せてどこが間違っているのかを指摘させる)
3.ロールプレイ
  (モデリングで学んだことを活かして、講師の前で実際に場面を設定してスキルを練習してみる。)
4.フィードバック
  (ロールプレイでの行動を振り返り、練習の結果適切な行動を取れたなら褒め、また不適切な行動であれば修正するよう指導する。)
5.ホームワーク
  (講師のいない場面でも、1~4までで学んだことを活かして自宅や学校、職場などで身近な人を相手に練習を行う)
6.一般化
  (必要に応じて1~5までの指導・訓練を適宜繰り返すことで徐々にスキルを積み重ね、最終的には教えたスキルがどのような場面でも発揮できるようにする)

という形を取るのが一般的である。

実施にあたっては、専門の講師による指導が必要になるが、
最も重要なのは、「ソーシャルスキルを学びたい」「このスキルを身に着けたい」という、本人自身の意欲である。



Date: 1999.10.01 Category: 用語辞典  Comments (0) Trackbacks (0)

発達障害・用語辞典 【た行】

<た行>





 ・注意欠陥・多動症候群

・多動性(落ち着きがなく動き回る)
・不注意(注意力、集中力の欠如)
・衝動性(言動や感情をうまく制御できない)

などを主な症状とする、発達障害の一つ。略称は「ADHD」
他の発達障害同様、当事者一人ごとにそれぞれ症状にはバラつきがあるが、主なタイプとしては

・主に多動性、衝動性の方が強く出るタイプ
・主に不注意の方が強く出るタイプ
・どちらとも言えないタイプ

の3種類に分類できる。

子供の頃は、じっとしていられないことで授業などの学校生活にうまく馴染めなかったり、周囲に対して攻撃的になってしまう、などの行動が問題になることが多い。
成長するにつれて、次第に症状は落ち着いていく傾向にあるものの、
大人の当事者の場合、物をなくしやすかったり片づけがうまくできなかったりするなど、集中力や注意力、感情ををうまくコントロールできないことに苦しむ例が多い。

その一方で、それら短所の裏返しである、機敏な行動力や発想力などの長所を活かせる場で活躍している当事者も多く、
周囲の環境や理解の有無などによって、当事者の生きやすさは大きく変わってくる。

現時点で詳細な原因は分かっていないが、患者の脳の一部が委縮していたり、働きの低下がみられるなどの報告があり、
抑制や自制に関わる脳の神経回路が何らかの理由でうまく発達していないのが原因ではないか、と推測されている。





 ・DSM-4

正式な略称は「DSM-Ⅳ」
1994年にアメリカ精神医学会によって発表された、「精神障害の診断と統計マニュアル」の第4版。
様々な精神障害を各カテゴリーに分類し、診断基準(それぞれの精神障害と診断するために、満たさなければならない症状の条件)を定めている。
主にアメリカにおいて使用されている基準であるが、日本においても基準として採用している病院は多い。

合計で374の障害が取り上げられており、現在まで使われているアスペルガー症候群の診断基準が初めて示されたのも
この版からである。

2000年に、一度「DSM-Ⅳ-TR」としてテキストの改定が加えられたが、
全面的な診断基準が見直されるのは、後の「DSM-Ⅴ」を待つことになる。





 ・DSM-5

2013年にアメリカ精神医学会によって発表された、「精神障害の診断と統計マニュアル」の第5版。
前回の「DSM-Ⅳ」から19年ぶりに大規模な診断基準の見直しが行われ、
医学の進歩や臨床実験などによって新たに明らかになった事実や、時代の変化などを踏まえる形で、
多くの精神障害の診断基準が変更されている。

これにより、発達障害に関する診断基準にも変更が加えられており、
「アスペルガー症候群」という診断名は他の類似する症状と共に「自閉スペクトラム症」という診断名に統合され、「DSM-Ⅴ」からは姿を消すこととなった。





 ・定型発達(者)

ここ最近、主に発達障害者のコミュニティで用いられるようになった言葉であり、
意味や定義などはまだ完全に固まっておらず、使い手によって意味合いが違っていたりもするが、
基本的な脳の働きや物事の認知、考え方、捉え方などが、全体において多数派であり一般的とされている範囲(定型)に収まっている、
いわゆる、「発達障害を持たない(方々やグループ)」を指すときに用いることが多い。

この分類の中には、発達以外の部分(身体障害など)に障害を抱えている方々も含まれるので、
定型発達者=健常者 というわけではない。

「発達障害(者)」と対になるグループの人々を短い単語で表すことができるため、使い勝手のいい言葉ではあるが、
世の中に広く認知されている言葉ではないため、公の場で使用する際には注意が必要である。




Date: 1999.09.01 Category: 用語辞典  Comments (0) Trackbacks (0)
プロフィール

猟虎

Author:猟虎
17歳の時に発達障害を告知されました。
「狭間の世界」の様々な出来事を綴りつつ、どうすれば少しでも生きやすくなるか。どうすれば社会と折り合っていけるのか、ということを考えてみています。

リンク歓迎。コメント等で一声掛けて頂けるとなお嬉しいです。

発達障害に関する執筆・講演・出前授業等
何らかの形で支援の力になれればと考えています。
興味のある方は↓よりご連絡を頂ければ幸いです。

mail:flying_seaotter□ymail.ne.jp
(□を@に変えてお送りください。)




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